offep2:破壊神Veris sec-3
夕時。Stellaは半泣きになりながら研究室を整理し、Quanは解呪法を探している。Evaは……何もしていない。
そんな中、Solは全く凝りもせずにVeris弄りを続けていた。
Sol「委員長〜」
Veris「…………」
Sol「返事してよ〜」
Veris「…………」
Verisは完全に無言のまま、Solの方は見向きもせずにひたすら書類整理をしている。
その背中からは妙な圧だけが出ていた。
Sol「ねえねえねえねえ」
Veris「…………」
Sol「委員長って怒らないとだいぶ静かだよね」
Eva「お前が普段どんだけ怒られてるかって話だな」
Sol「えへへ」
Eva「得意気にすんな」
その直後。SolがVerisの積んでいた資料の山から一枚だけスッと抜く。
Veris「…………」
Sol「お、これ何?“高濃度魔力触媒の安定化”……へえ〜」
Veris「…………返してください」
Sol「やだ」
ピキッ
棚に小さい亀裂。
Quan「出力の上昇を確認。全員備えろ」
Eva「実況するなするな」
Sol「じゃあ次〜」
Solは笑いながら今度はVerisの詰んでいた資料に落書きをし始める。
Veris「…………」
Sol「見てコレ。委員長が怒れないから代わりに怒ってる委員長描いてあげたよ」
Verisが怪獣のように暴れてるヘタクソな絵を周りに見せびらかす。
Eva「似てる」
Veris「…………」
Stella「Solちゃん……そろそろ」
Sol「まだ大丈夫まだ大丈夫」
Verisは無言で資料を整え続けている。その横で、Solが床に大の字で寝っ転がりながら追撃する。
Sol「委員長ってさ、絶対お母さんに向いてるよね」
Veris「…………」
Sol「毎日怒ってるし、くそまじめだし、家事してるし」
Veris「…………」
Sol「でも最近は怒れなくてかわいそーだね。Stellaが悲しんじゃうからなぁ」
Veris「…………」
Sol「あと昨日の“かわいい”で爆発したのマジで面白かっ」
ミジミジミジッ……
研究室全体が嫌な音を立てる。
Stella「ひっ!」
Eva「来るか」
Quan「避難しろ」
Veris「…………」
Verisは深呼吸した後、Stellaを見る。
Stellaは完全にヒヤヒヤした顔で、両手を合わせていた。
完全に、「お願いだから壊さないで〜」の顔をしている。
Veris「…………っ」
ぎりっ、と歯を食いしばり、眉間に鈍い皺を寄せながら堪えている。
Sol「おお、耐えたな」
Eva「お前マジで調子に乗りすぎ」
Sol「だって面白いじゃん。というか委員長がプンスコしてない日なんて未来永劫無いぞ。今だけチャンスタイム」
Eva「どういう解釈だよ」
Sol「大丈夫大丈夫。Stellaが守ってくれるから」
Stella「それでもやめて欲しいな~……」
そう言いつつもSolは一向に止まる気配が無い。しまいには先日散々Verisに叱られたスケボーをどこからともなく取り出しては、部屋の真ん中で堂々と乗り始めた。
Sol「ヒャッホウウ!!!」
Quan「邪魔」
Sol「なんだよお前らしけてんなー!!今日しかないってのに!!」
外野は呆れた目で暴れるSolを見つめている。そして、その光景を黙って見続けていたVerisが遂に限界を迎えた。
Veris「Sol」
Sol「おん?」
Verisがすっと立ち上がる。いつものようにプンスコ顔ではなく、真顔である。
Sol「……どったん委員長?委員長もスケボーやる?」
Veris「ちょっと来なさい」
Sol「えっ」
そう告げると、VerisはSolの首根っこを掴む。異様に力が入っている。
Sol「え、ちょ痛っ!!首!! 首掴まないで!!」
そのままずるずる引きずられていく。
Sol「待って待って待って!! 何!? どこ行くの!?」
Veris「いいから」
Sol「嫌な予感しかしない!!」
Stella「あっ、ヴェリちゃん目が据わってる……」
Quan「マジギレしている時の顔だな」
Eva「南無」
そのままドアの方まで引きずられて行き、静かに研究室の扉が閉まった。
呆気に取られているStellaをよそに、やがてQuanが呟く。
Quan「合理的だな」
Eva「何が」
Quan「屋外で発散すれば建物被害は抑えられることに気づいたか」
Eva「もっと早く気づいてくれ……」
Stella「でもSolちゃん大丈夫かなぁ」
Eva「どう考えてもあれは大丈夫じゃないだろ。まあ無事じゃなくても静かになるからいいだろ」
Stella「ひどーい!」
その瞬間。
「ぎゃあああああああああああ!!!!」
外から凄まじいSolの悲鳴が聞こえてきた。
続いて、
ドォォォォンッッッ!!!!!
地面が激しく揺れる。研究室の窓もビリビリ震えている。
Eva「……」
Quan「推定出力、昨日比で三倍以上」
Stella「わあー」
Eva「感心してる場合か」
さらに外から。
Sol「ごめんなさいごめんなさい!! 委員長ほんとごめんなさい!!」
Veris「誰のせいだと思ってるんですかぁぁぁぁ!!!!」
ドゴォォォンッッッ!!!!!
Eva「怪獣映画か」
Quan「一部ノンフィクション」
Stella「大学の人に怒られないかなぁ」
Eva「全部あいつのせいだからいいだろ」
溜まったツケを払わされる時が来ていた。